僕が本から得た学び
今回は、会社・組織でこの時期に行われる「目標設定」の話です。
会社・組織全体の目標を踏まえて、皆さん、
その年度に取り組むことを設定しますよね。
そして、中間や期末、四半期や月ごとに、その取組み(業績)を評価したり、評価を受けたりします…。
この「目標設定」について、僕は本から次の学びを得ました。
✓ 目標は、自分の価値観をメンバーに明らかにするためのもの。
✓ 目標は、自分が何を基準に判断し、どう行動しようとしているか(行動基準)を宣言するもの。
✓ 仕事の価値観・行動基準の共有がメンバーの意思統一や成長につながる。
僕が読んだ本
「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」(サンマーク出版)
この記事を読んでほしい人
僕と同じような次の人に、この記事を読んでいただけると嬉しいです。
・目標設定や業績評価に携わる管理職や上司の人
・チームメンバーの意思統一を図り、成長を促したいと思う管理職や上司の人
・「目標設定」の意味や効果に疑問を持っている人
本を読む前の僕の話
「目標設定」の作業自体は、僕もこれまで何度もしてきました。
そして、ちょうど1年前、管理職(課長)になったばかりの僕は、
「管理職になったのだから、今まで以上に、組織(上位)の目標を理解し、それに合致する自分の目標を立てなければいけない」と考えていました。
今思うと、「きちんと、組織の目標を理解しているぞ」「組織の目標をみんなに、わかりやすく伝えているぞ」ということを、僕は示したかっただけだと反省しています…。
そして、
目標設定の作業で僕が具体的にしたことは、
・組織の業務計画の中のキーワードや、経営層が発信しているメッセージをピックアップする
・そのキーワード・メッセージに沿った言葉を、書き漏らさないよう、僕の目標の中のカテゴリ(業務運営、人材育成、職場環境の整備)ごとに、ちりばめる
・それらの言葉を眺め、関連する「今年度できそうなこと」を並べていく
こんなことをしていました。
そうしてできた僕の「目標」を達成できるよう、その「目標」を部下(係長職)と共有しました。
そのあとは、中間・期末で自己評価をうまく書けるように、「目標」として書いた取組みが漏れていないか、部下(係長職)の取組みの進捗状況はどうか、月に1度くらいチェックしていました。
結果として、中間・期末の自己評価では、「それなりの」記載をすることはできました。
しかし、僕の立てた「目標」が、
・チームのメンバーがそれぞれの「目標」を立てるのに良い影響を与えたか?
・メンバーの実力の発揮を促し、成長につながったか?
と問われると…何の影響も与えなかったと感じています。
僕の目標設定には、意味があったのだろうか?…と考えていたとき、「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」(サンマーク出版)の次の一節に、ハッとしました。
“気づき”と僕が考えたこと
目標設定のプロセスでやることとは、自分がやるとわかっている仕事を書き出すことなのだ。
仕事の目標は、前途にあってマラソンランナーの目標のように前進を駆り立ててくれるものではなく、自分のすぐうしろにあって、どっちにしろやるつもりの仕事に引っ張られてついてくるものなのだ。<略>
それに、いったん仕事の目標を設定した人は、それを見返すことはまずない。
もしも目標が仕事の指針になるのなら、見返したいと思うはずなのに。
引用元「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」<著者:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドール、訳者:櫻井祐子>(サンマーク出版)
まさに、コレでした…。
「やるとわかっている仕事」、「どっちにしろやるつもりの仕事」という言葉が、僕に刺さりました。
「目標」は、僕が進むべき道標、指針であるべきです。
しかし、僕の作った「目標」は、組織目標をなぞった、ただの「やることリスト」になっていました。
そんな僕の「目標=やることリスト」を共有しても、部下(係長職)は、「部下自身のやることリスト」を作るでしょうから、お互いの「目標」がつながらないのは、当然です。
つながっていないのですから、僕の「目標」が、メンバーの行動や成長を促せるはずがありません。
そして、僕自身が目指すところを記載していないので、僕が自分の「目標」を漏れチェック以外に見返すことは、ありませんでした。
では、「目標設定」をどう考えればいいのか?
そのヒントも、「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」(サンマーク出版)の次の一節から得ることができました。
目標というものは<略>自分の価値観を明らかにするためにある。
目標は自分の内にあるものを外に出し、自分や他人に可視化することによって、自分や他人のために有益な何かを生み出せるようにするための、最高の仕組みである。
あなたの目標とは、あなたが世界にどのような影響をおよぼそうとしているかを宣言するものだ。
引用元「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」<著者:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドール、訳者:櫻井祐子>(サンマーク出版)
僕が作っていた「目標」に無かったものは、僕自身の仕事に対する「思い」や「大切にしたいこと」、つまり「価値観」だったのです。
組織(上位)の目標を僕なりの言葉で記載していましたが、僕自身が「何を大切にして、どう行動していこうとしているか」(行動基準)が抜け落ちていました。
「【学び】管理職が果たすべき役割と「ビジョン」が備えるべき3つのもの」で書かせていただいたとおり、管理職の役割はチームの“ビジョン”を掲げることです。
この“ビジョン”に沿って、管理職である自分はどんな「価値観」を持っているのか、どう行動しようとしているのか
その「価値観」と「行動基準」を見えるようにして、メンバーに向けて宣言する必要があったのです。
そして、その「価値観」と「行動基準」が僕自身の道標、指針となり、“ビジョン”に向けて進む力となる。
また、「価値観」と「行動基準」をメンバーと共有することで、メンバー自身の「目標」と「行動」を“ビジョン”に向けることができる。
「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」(サンマーク出版)には、こうも書いてありました。
適切に設定された目標はつねに、その目標を立てた人にとって最も意味があることの表れであり、それ以外のものではない。
引用元「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」<著者:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドール、訳者:櫻井祐子>(サンマーク出版)
「価値観」や「行動基準」が記載された「目標」を設定し、共有することで、僕が「意味があると考えること」と、メンバーが「意味があると考えること」がつながります。
それが、“ビジョン”に向けた意思統一そのものだと僕は思います。
これが「目標設定」の仕組みなのだと、僕は理解しました。
さらに、「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」(サンマーク出版)の次の一節から、メンバーの成長について“気づき”を得ました。
意味を個人の単位にまで落とし込むことによって、チームメンバー一人ひとりに、何のために働くのかを理解させつつも、選択や決定、優先順位づけ、目標設定の主導権を、本来の持ち主である―現実世界を理解し、それに対処する能力を持つ―チームメンバーの手にとどめておくことができる。
引用元「NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘」<著者:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドール、訳者:櫻井祐子>(サンマーク出版)
メンバーは、仕事の「意味」を理解する。
そして、「自分の役割は何か?」「自分は何をすべきか?」を考える。
その上で、自身の目標を選択、決定し、実行する。
誰かに設定された目標ではなく、「意味・目的」を理解し、「自分で設定した目標」に向かって、日々の仕事に取り組むからこそ、「実力を発揮」でき、「成長」していくことができるのです。
僕にとって、「目標設定」とは、次の意味を持つようになりました。
✓ 目標は、自分の価値観をメンバーに明らかにするためのもの。
✓ 目標は、自分が何を基準に判断し、どう行動しようとしているかを宣言するもの。
✓ 仕事の価値観・行動基準の共有がチームメンバーの意思統一や成長につながる。
職場の“ビジョン”実現に向けて、今年度の僕の「目標設定」では、この“学び”を実践していきます!
本から得た学びを実践し、より良い明日、
より良い世の中に。
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