【実践】新任管理職が「自分じゃなくてもできることは『やらない』」と決めた結果、得られた3つのこと

実践/アウトプット

実践「自分じゃなくてもできることは『やらない』」

今回の“実践”は、「時間の使い方」についてです。

管理職として、自分が何に力を注ぐべきか?そして、そのためにどのように「時間」を使うべきか?を考えていた際、僕は次の2冊を読みました。

「型破りCEOが世界を歩いて学んだリーダー5つの黄金律」(大和書房)

「時間を使いこなせば人生は思い通り 神時間力」(株式会社 飛鳥新社)

その中の次の一節をヒントにして、僕は、「自分じゃなくてもできることは『やらない』と決め、それを実践しました。

リーダーは時間をつくることの必要性と重要性を理解するべきです。

時間をつくって考えをまとめ、熟考し、日々の単調な仕事から思考を解放せねばなりません。

引用元「型破りCEOが世界を歩いて学んだリーダー5つの黄金律」<著者:ポール・デュプイ、訳者:呉亜矢>(大和書房)

『やらないといけないことのギリギリのラインを見極めろ』<略>

『やらないといけないこと』に時間をかけて完璧なクオリティでやったとしても、人生で得たい結果につながることなんて、ほとんどありません。

引用元「時間を使いこなせば人生は思い通り 神時間力」<著者:星渉>(株式会社 飛鳥新社)

管理職としての「思考」や「行動」をするには、その「時間」の確保が大前提になります。

次のような人に、この記事を読んでいただけると嬉しいです。

管理職や上司として「多忙な毎日」を送っている人

「部下に任せる」ことが苦手な管理職や上司の人

どうして「自分じゃなくてもできることは『やらない』」を実践しようと思ったか?

管理職になって起きた変化

かかわる仕事の量が増え、その範囲も広がった

係長のときは、4〜5人の部下と、自分の担当ラインの仕事を進めていきます。

自分がミスなく仕事をすることはもちろんですが、部下の仕事の進め方や成果についても、しっかり目を通し、ダブルチェックしていました。

管理職(課長)になると、僕は、45人の部下と課内の複数のラインの仕事を同時に進めていかなければならなくなりました。

係長のときと同じく、自分が細部まで指示し、部下の仕事・成果を確認しようとすると、膨大な作業量と時間がかかります。

仕事とのつながり方が変わった

係長のときは、自分の仕事をしつつ、部下に指示したり、報告・相談を受けて、係の仕事を進め、成果を出すことが僕の役割でした。

僕(係長)⇔部下⇔仕事 という、仕事とのつながり方です。

管理職(課長)になると、最前線にいる部下との間に「係長」がいますので、

僕(課長)⇔係長⇔部下⇔仕事 という、仕事とのつながり方に変わります。

僕がこれまで係長時代にしてきた「仕事の仕方」をすると、僕よりも「仕事の前線にいる係長」と、同じことをすることになります。

仕事に与える影響力が大きくなった

僕が係長時代に、自分の役割として影響を与えられるのは、部下4〜5人の仕事と「係の成果」でした。

管理職(課長)になると、部下45人の仕事と「課の成果」にかかわることになります。

仕事の成果の「量」への影響力が大きくなることはもちろん、仕事の成果の「方向性」も決められるようになります。

「量」への影響力が大きい分、「方向性」を正しく示せないと、課の行動力は失速するか、間違った方向に進んでいってしまいます。

「仕事の方向性」について、考え、判断することが重要な役割になります。

管理職としての機能を果たすこと―自分にしかできないこと―

管理職として「方向性を示す」

管理職になって起きた変化から、自分の役割が大きく変わったことに僕は気づきました。

1つ1つの仕事について、その進め方や成果の出し方を考えたり、ミスが生じないようチェックすることは、係長のときにもできました。

しかし、組織目標に沿って、仕事の方向性―目的と意味(ビジョン)―を課の全員に示すことは、管理職にしかできません。

管理職に求められている役割は、課の全員が正しい方向に全力で進めるよう「方向性」を示すことだと僕は考えます。

管理職として「深く考える」

管理職が示す「仕事の方向性」には、全員を動かす説得力が必要です。

そして、管理職が示す「仕事の目的と意味」は、迷ったときに力を与えてくれるものでなければなりません。

これらの力を備えるためには、「深く考える」ことが不可欠だと僕は考えます。

組織目標や課の全員の顔を思い浮かべて、「『仕事の目的と意味』に向き合い、何度も何度も考えたこと」「どうして、その方向じゃなければダメなのか?という問い」を経て示した「方向性」だからこそ、力が宿るのだと僕は考えます。

管理職に求められている役割は、仕事の前線にいる係長や部下の「誰よりも深く考えること」だと僕は考えます。

管理職として「係長に任せる」

管理職が「誰よりも深く考え」「方向性を示す」という役割を果たすためには、それに注力する時間が必要です。

「管理職としての時間」を確保するためには、「管理職の自分じゃなくてもできること」を「部下に任せる」しかないと僕は考えます。

それは、「部下に直接指示して仕事を進め、その成果をチェックすること」を、自分の手から放して「係長に任せる」ということです。

「係長に任せること」で、「時間を確保すること」も管理職に求められていると僕は考えます。

「自分じゃなくてもできることは『やらない』」を実践する理由

このように、僕は、「管理職になる」という変化を体験し、自覚しました。

そして、管理職として機能するため、「自分じゃなくてもできることは『やらない』」を実践し、「管理職としての時間」を確保することにしました。

「自分じゃなくてもできることは『やらない』」ために僕がしたこと

「仕事の前線で、部下に直接指示して仕事を進め、その成果をチェックすること」を自分の手から放し、「係長に任せる」にあたって、僕は次のことをしました。

目的・意味を共有する

課の方向性と、仕事の前線での指示が食い違うことがないよう、係長と仕事の「目的・意味」を十分議論しました。

僕と係長の価値観が近づいた分だけ、係長の指示を受けた部下の仕事の結果が、課の方向性から外れないと考えたからです。

そして、目的と意味が共有できていれば、「仕事の仕方や方法」は、係長に自由に選んでもらうことができます。

係長の「やらされ感」を減らし、創意工夫を引き出せると考えたからです。

権限を与える

係長と仕事の目的・意味を共有できていれば、仕事のスタート時点での問題は起きないと僕は考えます。

ポイントは、仕事が始まってからです。

仕事の前線では、様々な問題が起きます(だいたい、管理職の出番は「悪いこと」が起きたときです。)。

この様々な問題が起きたとき、「どう対処するか」の一部を手放し、係長に任せるのですから、必要な権限を係長に与えて、判断・行動できるようにしておく必要があります。

この権限が不足していると、仕事が停滞したり、係長から逐一の報告・相談がきて、「時間の確保」という目的が達成できなくなってしまいます。

僕は、あらかじめ次の4つの権限を係長に与えて「任せる」ようにしました。


①「仕事の目的や意味」に沿っていれば、達成に向けた方法やメンバーへの指示、役割分担を係長が自由に決めてよいこと

②係長の想定外のことが起きたときは、報告・相談なく、自身の判断で仕事をストップできること(ただし、ストップさせたときは、時間を問わず、速やかに報告すること)

③当初メンバーの力では、目標達成が難しい(足りない)と見込まれたときは、報告・相談なく、自身の判断で課内の他係に応援・助力を求めてよいこと(ただし、応援・助力を求めたときは、速やかに報告すること)

④仕事の遂行に権限が不足したときは、時間を問わず、最優先で連絡・相談してよいこと


感謝し、一緒に仕事を振り返る

係長に継続的に仕事を「任せる」ことができるように、一区切りついたタイミングで、僕は次のことをするようにしました。


①自分に代わって、仕事や部下を前に進めてくれたことに感謝を伝えること

感謝は、係長の次の自発的な行動を促します。

「とても助かった」「頼りになると感じた」と伝えるようにしました。

②仕事を進めていく上で、権限の不足や判断に不安がなかったかを聞くこと

不足や不安は、係長の行動量を低下させます。

次は、これらを取り除いてから「任せる」ようにしました。

③仕事で停滞やズレが生じたところがあれば、次はどのようにするのが良いと思うか聞き、一緒に考えること

前線で仕事に携わった係長の感触は重要です。

「次の仕事の成果」に向けて「任せ方」を改善するようにしました。


このように、「係長に任せる」→「係長が実行する」→「実行結果を振り返る」→「係長に任せる」というサイクルが、係長との「仕事の目的・意味」の差を埋めるとともに、「任せ方」の進化につながると僕は考えます。

そして、より多くの仕事を任せることができるようになれば、より多くの時間を「自分にしかできないこと」に注ぐことができるようになると僕は考えます。

「自分じゃなくてもできることは『やらない』」の実践結果はどうだったか?

気づき①:「やらない」と決めることで、「時間」だけでなく、「深い思考」と「集中」を手に入れることができる。

「やらない」と決めて、係長に任せ、「仕事を手放した分」の時間を、僕は次のような「管理職としての時間」に当てることができるようになりました。


・ビジョンを考え、示すこと

・部下の取組みや成功に注目し、関心を示すこと

・組織や部下の未来を考えること


さらに、気づきがありました。

実際に手が空いた時間(これまで作業していた実時間)だけでなく、「その仕事のことを考えていた時間」「その仕事のことが気になっていた時間」が大幅に減り、仕事の方向性を「より深く考えられるようになった」のです。

これは、仕事を「任せる」際に、係長と「仕事の目的や意味」を十分共有したことで、安心して仕事を手放すことができ、「自分がすべきこと」に集中できるようになったからだと僕は気づきました。

気づき②:「やらない」と決めることで、「チームの成長」を手に入れることができる。

仕事の「目的と意味」を共有し、必要な権限を与えた係長と「任せる」「実行する」「振り返る」のサイクルを回した結果、僕がその仕事に直接かかわっていなくても、「仕事の成果」に差は生じなくなることに気づきました。

さらに、管理職の僕の「任せる」スタンスが浸透すると、係長たちの創意工夫、自発的な行動が見られるようになりました。

僕が指示しなくても係長同士で情報共有・交換し、連携して仕事を進めるようになったのです。

いい意味で、僕がいなくても、勝手に仕事が進むようになったのです。

僕が「やらない」と決め、仕事を手放すことで、「強いチーム・動けるチーム」に成長できることに気づきました。

「自分じゃなくてもできることは『やらない』」の実践結果からの学び

以上の実践や気づきから、僕は次のことを学びました。


管理職が「自分じゃなくてもできることは『やらない』」と決めることで、

✓ 「管理職としての時間」を手に入れることができる。

✓ 「深い思考」と「集中」を手に入れることができる。

✓ 強いチーム・動けるチームへの「成長」を手に入れることができる。


本から得た学びを実践し、より良い明日、

より良い世の中に。

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