【学び】新任管理職が陥りがちな「悪いマイクロマネジメント」から脱出する方法

学び/インプット

今回は、どうしたら「悪いマイクロマネジメント」を脱出できるか?ということをお伝えしたいと思います。

次のような人に、この記事を読んでいただけると嬉しいです。

自分なりに、手を尽くして「マネジメント」をしているけど、業績や期待する部下の行動・成長につながっていないと感じている管理職・上司の人

・管理職になったばかりで、「どうマネジメントしていこうか」と迷っている

部下への細かな指示や進捗管理、関与が苦手な管理職・上司の人

「悪いマイクロマネジメント」とは?

管理職になったばかりの僕がしていた「マネジメント」

管理職(課長)になって1年目、僕は、部下(係長)に対し、次のようなことを求めていました。

課の目標達成に向けた部下の「行動目標」の設定、指標化

僕は、部下一人ひとりと面談し、「してほしい行動」を伝え、その行動の目標数値を設定しました。

毎週の「やることリスト」の確認と月1回の「進捗報告ミーティング」

僕は、週始めに、必ず部下に「今週、取り組むことは何か?」と聞いていました。

そして、毎月1時間程度、部下とミーティングを行い、その月の取組み状況、進捗を確認していました。

個別の仕事や業務についての具体的な数値目標の設定、結果報告

例えば、職場内研修を行った際は、「チームごとに、この研修での気づきを4つ以上、その気づきを受けて、改善する行動を4つ以上あげて、◯◯日までに報告すること」

といった感じです…。

部下がストレスを感じる「マイクロマネジメント」だったと思います。

なぜ、僕はそんなマネジメントをしてしまったのか?

管理職になったばかりの僕は、仕事で成果を出して、「統率力があること」や「有能であること」を示したい、認められたいという思いがありました。

その一方で、「僕なら、こうするのになあ」「僕なら、このタイミングで動くのになあ」など、僕が部下に期待する行動と、現状に差を感じていました。

この気負いや焦りから、「その差がなぜ生じているのか?」を考えることなく、僕は、「一つ一つ指示を出し、すべての結果・状況を把握して、課の業務を進めていかなければならない」と考えてしまいました。

部下の「行動を管理すること」が僕の役割と考えて、前述のようなマネジメントをしてしまったのです。

僕の「マネジメント」の結果

そのような考えから始めた僕のマネジメントの結果は、「反省」しかありません。

課の目標達成に向けた部下の「行動目標」の設定、指標化(結果)

初めは、部下の行動に変化が見られました。

しかし、もともと「部下が自発的に考えた行動目標」ではないので、段々と行動量は減り、「指標」が部下の行動を後押しすることはなかったと思います。

毎週の「やることリスト」の確認と月1回の「進捗報告ミーティング」(結果)

初めは、「今週は、◯◯と△△に取り組みます」という、やりとりがありました。

ただ、こちらも、「引き続き、先週と同じく取り組みます」というものに段々となっていきました。

そして、そのうち「またこれを聞かれるのか」という部下の反応が見られるようになっていきました。

「行動」を指示、管理されているのですから、「次は、これに取り組んでみます」といった工夫が見られないのは当然です。

進捗報告ミーティングも同様に、「できたこと、できなかったこと」は共有されますが、その結果を受けて、「行動・取組みを、このように変えていきます」といった発言を部下から引き出し、議論するまでには至りませんでした。

個別の仕事や業務についての具体的な数値目標の設定、結果報告(結果)

結果報告を「業務命令」として求めていましたので、報告は、きちんと上がってきました。

ただ、「課長に言われたから、出さないといけない」といった「やらされ感」がある中では、僕の関与が、部下の業績や成長には、つながっておらず、部下は、ただの「負担」と感じていたと思います。

実際に、「課長は、方向性を示してくれればいい。中身は、係長の自分たちがきちんとやるから」と、直接言われました。

僕が考える「悪いマイクロマネジメント」とは?

この経験から、僕は「マネジメント」について、次のように考えました。

・部下の「行動を管理する」のは、マネジメントの手法として効果的ではない

・部下は自分とは違う人間なので、どれだけ「行動」を管理しても、「結果」は、期待とズレる

・そのズレを見て、さらに「もっと、細かく関わらなければいけない」と「管理」を強めると、より細かなところまで指示され、結果を逐一求められる部下は、「自分には、任せてもらえない」と感じる。

・この不満や「考える」ことを止めてしまうことで、パフォーマンスや成長が停滞する

・パフォーマンスや成長が停滞すれば、職場の業績も雰囲気も悪化する

このような悪循環を生み出すマネジメントが「悪いマイクロマネジメント」だと僕は考えます。

「良いマネジメント」とは?

では、どのようなマネジメントを目指すべきなのか?と考えていたとき、僕は次の2冊の本を読みました。

「コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト 知らないと一生後悔する99のスキルと5の挑戦」(ソシム株式会社)

「コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト 知るだけでビジネスモンスターになれる79のスキル/思考と矜持」(ソシム株式会社)

その中でも、特にヒントになったのは、次の一節です。

三流のマネジャー=TASKマネジメント<略>

論点、サブ論点をちゃんと把握していなければ、同じ作業をしていてもズレ始め、最終的なアウトプットは変わってきてしまいます。<略>

一流のマネジャーがすべきは論点マネジメント

引用元『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト 知らないと一生後悔する99のスキルと5の挑戦』<著者:高松智史>(ソシム株式会社)

「メンバー」の立場としてマネジャーからTASKを頂戴し、仕事を始めたとします。<略>

その場合、マネジャーはそのTASKを忘れずにチームメンバーを管理する。

あれどうなった?もうすぐ終わりそう?いつ終わりそう?<略>

まさに「マイクロマネジメント」という名の「束縛」が始まってしまうことがある。<略>

あれ?この論点、どうなったっけ?

その気持ちが束縛になってしまうのです。

引用元『コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト 知るだけでビジネスモンスターになれる79のスキル/思考と矜持』<著者:高松智史>(ソシム株式会社)

マネジメントの順番―「重要な問い」から始めること―

最も重要な問い―僕たちは何を目指しているのか?(目的)―と、それに続く重要な問い―何故それを目指すのか?その中でのあなたの役割は何か?(理由・役割)―から、マネジメントは始めなければいけません。

これらの「重要な問い」のあとに、「行動」―何をするか?どんな方法でするか?―がくるのです。

マネジメントでは、この「順番」がとても大切なのです。

目的や理由、役割といった「重要な問い」に対する「部下の理解」が根本になければいけなかったのに、僕は部下を「行動」から動かそうとしていたのです。

なぜ、その順番が大切なのか?

前述のとおり、経験上、部下は自分とは違う人間なので、どれだけ「行動」を指示、管理しても、「結果」はズレます。

人は、自分が理解したことの範囲の中で、自分の行動を決定します。

なので、この「理解」がズレたままだと、どれだけマイクロマネジメントを強めていっても、「行動」のズレは修正できないと思います。

「行動のズレ」を最小限に抑えたり、修正してくれるのが、目的や理由、役割といった「重要な問い」への理解なのです。

・始めに部下と「重要な問い」について、しっかり議論し、共通の理解としておくこと

・その「理解」が部下の行動を決めること

・部下の行動に「ズレ」が見られたとき、「重要な問い」への理解にズレが生じていると考え、行動ではなく、その「理解の差」を埋めること

「重要な問い」への理解→行動 という順番で考えることで、部下を縛りつける「悪いマイクロマネジメント」に陥ることを避けられると僕は考えます。

『「重要な問い」から始めること』がもたらす良いコト

部下と「重要な問い」―「何を目指しているのか?」(目的)と「何故それを目指すのか?その中でのあなたの役割は何か?(理由・役割)」―をしっかり議論しておくと、次の良いことがあると僕は考えます。

マイクロマネジメントを避けられる

目的や理由・役割を「十分理解してもらった」という安心感が、部下を信頼することにつながり、具体的な「行動」を任せることができます。

「あれ、どうなったのかな?」という心配や、「そのやり方、違わないか?」と細かな差が気になることがなくなり、「マイクロマネジメント」を避けられます。

部下の成長につながる

部下も、「行動」だけ指示されることがなくなり、自身の「重要な問い」の理解に照らして、「どんな行動をとるか」を決められるので、「仕事の楽しみ」を感じたり、創意工夫や「係長職として手腕の発揮」を通じて、「成長」することができます。

ミーティングが「行動の精度を高めていく場」になる

ミーティングも、進捗状況の報告の場ではなく、「重要な問い」への理解を修正し、「今のまま、進めていくのがベストか?」「目標に照らすと、行動の方向性を変える必要があるのではないか?」などを議論し、「行動の精度を高めていく場」にすることができます。

僕が考える「良いマネジメント」とは?

これらの気づきから、僕は「マネジメント」について、次のように考えました。

・マネジメントは、仕事の目的や理由、役割などの「重要な問い」を部下に投げかけ、議論することから始めること

・「重要な問い」への共通理解が、部下への信頼につながり、「行動」を部下に任せられるようになること

・「行動」を任されることが、部下の業績や創意工夫、成長につながること

・部下の行動から、「理解のズレ」に気づき、その「理解のズレ」を修正し、部下の「行動の精度を高めていくこと」が「マネジメント」であること

このような好循環を生み出すマネジメントが「良いマネジメント」だと僕は考えます。

「悪いマイクロマネジメント」を脱出し、「良いマネジメント」を目指すための方法

以上のことから、僕が学んだ「悪いマイクロマネジメント」から脱出し、「良いマネジメント」を目指すための方法は、次の3つです。


✓ マネジメントの順番―目的や理由、役割などの「重要な問い」が先にあり、「行動」はあと―を守ること

(「重要な問い」に関連する学びや僕の考えは、別記事「ビジョンを掲げる」をご覧ください。)

✓ 「重要な問い」を理解したメンバーに「行動」は任せ、「行動」には口を出さないこと。

✓ メンバーの行動を注視し、「理解のズレ」に気づき、「理解のズレ」を修正することを管理職の役割、「マネジメント」と考えること


本から得た学びを実践し、より良い明日、
より良い世の中に。

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